FDEとは|社内FDE・SESとの違いと、育成の動きが広がる理由
FDEという言葉を聞いたものの、自社に関係があるのか判断できない経営者や人事・DX担当の方へ。FDE(Forward Deployed Engineer、フォワード・デプロイド・エンジニア)は、顧客の現場に入り、課題を見つけるところから技術で解決するエンジニアのことです。この役割を自社の社員が担う形を、当社では「社内FDE」と呼んでいます。
目の前の課題を早く片付けたいなら外部のFDEが向いていて、業務が変わっても社内で直し続けたいなら社内FDEが向いています。この記事の内容は、FDEの仕事の中身、SESとの違い、育成の動きが広がっている理由、自社がどちらから始めるとよいかの4つです。
FDEとは、どんな仕事をする人?
FDEは、顧客の組織に入り込んで、AIなどの仕組みを業務で使われるところまで導入するエンジニアです。米パランティア(Palantir)が広めた職種とされています(Business Insider Japan、2026年5月の記事)。
普通の開発と大きく違うのは、仕事の始まり方です。パランティアの求人票には、案件は「nebulous question」(はっきりしない問い)から始まることが多いと書かれています(Palantirの求人票、2026年11月時点)。FDEは、何を解くべきかを現場で確かめるところから仕事に入るわけです。
仕事の流れは3つです。まず現場で業務を見て課題を見つけ、次に社内のシステムやデータとつないで仕組みを作ります。最後は、社員が使い続けられる状態にして引き継ぎの段階です。使われるところまで見る点がFDEの特徴です。

FDEとSES、受託開発は何が違う?
3つの違いは、誰が何を決めてから仕事が始まるかに表れます。
| 仕事の始まり | 終わったときに残るもの | |
|---|---|---|
| FDE | 現場で課題を見つけるところから | 使われている仕組みと、それを直せる社員 |
| 受託開発 | 決まった要件から | 納品された仕組み |
| SES | 決められた作業から | 提供された技術者の作業時間 |
SESは、決められた作業のために技術者の作業時間を提供する契約の形です。一方でFDEは、職種や役割を指す言葉です。そのため、契約の形だけを見てもFDEかどうかは判断できません。
FDEという呼び名には、厳しい見方もあります。先ほどのBusiness Insider Japanの記事では、スノーフレークの元最高収益責任者がFDEを「名ばかりのプロフェッショナルサービス担当者」と評しています。常駐するだけの技術者にFDEという名前を付けている例もありえるので、頼む側は仕事の中身まで確かめておくと安心でしょう。
当社が外部のFDEとして確かめているのは、次の4つです。現場に常駐していること、本職のエンジニアであること、社内システムとつなぐところまで作ること、社員が直せる状態で引き継ぐことです。依頼先を比べるときは、この4つを聞いてみてください。
社内FDEは、外部のFDEと何が違う?
外部のFDEは、AIの会社のエンジニアが現場に常駐して仕組みを作る形です。社内FDEは、業務をよく知る自社の社員が、AIを使って自部署の仕組みを作り、直し、周りの社員に広げる形です。もともとFDEは顧客の現場に入るエンジニアを指す言葉なので、社内FDEはその役割を社内に置き換えた当社の呼び方になります。
社内FDEについて、当社はプログラムを書けることを条件にしていません。重視しているのは、その業務の例外や手順の理由を説明できることです。作りたい処理を言葉で説明できれば、AIがプログラムを書く作業を支えてくれるので、最初の仕組みは作れます。
ただし、社内FDEに向く仕事には範囲があります。任せるのは下書き・集計・照合などを行う仕組みづくりです。品質や安全、お金に関わる最終の判断は、仕組みを作ったあとも人の役目として残ります。社内システムとの本格的な連携が必要な場合は、社内エンジニアや外部のFDEと組むほうが進めやすくなります。

なぜFDEの育成に注目が集まっている?
理由は2つあると私たちは考えています。
1つ目は、FDEという職種そのものの需要が伸びていることです。米Business Insiderの翻訳記事が伝えるIndeedのデータでは、2026年4月のFDE求人件数は2025年1月と比べて5230%増え、前年同月比でも約729%増えました(Business Insider Japan、2026年5月の記事)。伸び率がこれほど大きいのは、もともとの件数が少なかったためと考えられます。
日本でも、育成の研修が2026年に相次いで始まりました。AI企業のFDE組織に向けた研修が5月に始まり(Foundry Labsの発表)、8月には法人向けの研修(divの発表)、9月には社会人向けのオンライン講座(グリーンウォーターズの発表)が出ています。いずれも提供する側の発表で、社内で育てている会社の数を示す統計は、今回の確認では見当たりませんでした。
2つ目は、日本企業で「作る人」が足りないことです。情報処理推進機構(IPA)の「DX動向2025」では、DXを進める人材の量が足りないと答えた日本企業が85.1%でした。システム開発で「必要な部分は内製化済み」と答えた日本企業は16.7%で、米国・ドイツの半分以下です。内製化を進めるときの課題でも、日本は「人材の確保や育成が難しい」という回答が突出していました。
採用が難しいなら、業務をよく知っている社員を育てるという選択肢が出てきます。当社の社内FDE育成も、この考え方で組んだプログラムです。
自社は外部のFDEと社内FDEのどちらから始めるべき?
判断の分かれ目は、急ぎの課題があるかどうかと、社内に時間を出せる社員がいるかどうかです。
急いで片付けたい課題があり、社内システムとの連携が必要なら、外部のFDEが向いています。毎月くり返す作業が部署ごとにたくさんあり、上司が業務時間の2割を出せる社員がいるなら、社内FDEから始めるのがよいでしょう。
両方を組み合わせる形もあります。目の前の課題は外部のFDEが開発し、並行して社内FDEを育てて、段階的に社内へ移していく進め方です。当社の支援から2つ例を挙げます。社員が作る形では、大手決済サービス会社の非IT部門の社員が週1回1時間・全6回の伴走を受け、のべ11部門すべてが期間内に動く成果物を完成させました。常駐して一緒に作る形では、持株会社グループの人事総務部で勤怠データの振り分けなどを社員の方と作り、設定を社員が自分で変えられるようにして引き継ぎました。

社内FDEを育てるときは、何から決める?
最初に決めるのは、誰を選ぶかと、何を題材にするかです。当社では、その業務を2年以上担当し、困りごとを自分の言葉で言える人を選んでいます。部署ごとに2名ずつ選ぶと、相談相手ができて途中で止まりにくくなります。
題材は、毎週か毎月くり返し発生し、1回30分以上かかり、手順がおおよそ決まっている作業がおすすめです。失敗しても取引先に直接の影響が出ないものから始めます。人選と題材が決まったら、今の作業時間を測っておきます。導入の前と後を同じ物差しで比べられれば、上司や役員への説明に使えるからです。
よくある質問
Q. FDEは何の略ですか?
A. Forward Deployed Engineer(フォワード・デプロイド・エンジニア)の略です。顧客の現場に入り、課題を見つけて技術で解決するエンジニアを指します。
Q. FDEとSESは何が違いますか?
A. SESは、決められた作業のために技術者の作業時間を提供する契約の形です。FDEは、現場で課題を見つけるところから入り、作った仕組みを社員が直せる状態で引き継ぐまでを役割にしています。
Q. プログラミングができない社員でも社内FDEになれますか?
A. 当社の業務部門コースは、プログラムを書けることを条件にしていません。作りたい処理を言葉で説明できれば、AIの支えを受けて最初の仕組みを作れます。社内システムとの連携は、社内エンジニアと組むと進めやすくなります。
Q. 社内FDEを育てるのに、どのくらいの期間がかかりますか?
A. 当社の標準は、週1回・全12回の育成3か月と、本番の業務で使いながら直す伴走3か月をあわせた6か月です。育成の3か月で、自部署で使われる仕組みを1つ完成させることを目標にしています。
Q. 少人数でも始められますか?
A. 始められます。まず1つの部署で2名を選び、小さな題材から始める形もとれます。
社内FDEをどの部署から育てるか、30分で整理します
プログラムの内容と進め方は、社内FDE育成のページをご覧ください。
株式会社AIworkerでは、30分の無料相談を行っています。育成の対象にしたい部署と時間がかかっている業務をお聞きし、外部のFDEと社内FDEのどちらから始めるとよいかを整理してお渡しします。